黄色いtowel(手拭い) 

職場の近くにちっちゃなライブハウスがある。

昔、一緒にバンドやっていた仲間がリーダをしているバンド@ビートルズのコピ~バンド・・・が、そこに出演すると言うので聴きに行った。

そのライブハウスは、入り口はいってすぐの所が喫茶店になっていて、その奥がライブハウス&練習スタジオだ。でもオレはそんな事は知らなくて、入り口の喫茶店カウンタに座ってひとり、とまどっていた。

「ちょっと早く来すぎたかな」

そんな時、気遣って声をかけてくれた人がいた。

「こっちがホールです。こっちでライブやりますから、こっちへどーぞ」

長い髪の明るい感じの女の子だった。

麗華と仮名で呼んでおこう。

オレとしては「麗華ちゃん」・・・と呼びたいとこなのだけど、本人がその後、「チャン付けせずにそのままがいい」と言っていて、オレも「麗華」と呼ばせてもらった。そんな所もとてもステキな子だった。

麗華は、聴きに行ったビートルズバンドのベーシスト兼ボーカルだった。

「ミスターポストマン」を歌ったのがとても印象的だった。そして、ベースの練習のし過ぎと弾き過ぎでステージ終わった後に「腕が痛い」とポロポロ涙こぼして泣いていたのがさらに印象的な頑張り屋さんだった。

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黄色いtowel(手拭い) その弐

山陰のとある所にすばらしい音楽施設がある。
温水プールに録音&練習スタジオ。リスニングルームやリラクゼーションルーム。珍しい楽器の展示室やデスクトップミュージック体験ルーム。そして宿泊施設とレストランもある。

この町、ブラスバンドが盛んな町で、そこの高校は全国のコンクール常勝。町の多くの人も音楽好きと言うことで造られた施設らしい。

そこに下見を兼ねて泊りがけで遊びに行こうという事になった。
メンバーは4人! ビートルズコピーバンドのリーダと麗華。 こちらのバンドからはさっさんとオレと。

夕食の後、温水プールで泳がせてもらった。宿泊客は少ないという事で夕方の温水プールは貸切状態・・・「事故ないよーに」と、注意しながらも、開放してくれた施設の人の好意もありがたかった。

プールの中でバレーボールをして遊んだ。
麗華は黒のビキニでカッコよかった。めちゃくちゃ楽しかった。
水もだいぶ呑んだ。ひぃひぃ息もあがった。でも、めちゃくちゃ楽しかった。
息あがって休もうとすると「にげちゃダメ~」と麗華に引き戻された。
それでも、めちゃくちゃ楽しかった。

プールからあがって部屋でギター弾きながら4人のパーティ。
麗華は素顔「すっぴん、はずかしいなあ」とかなり気にしながらも屈託はない。
たしかに化粧とすっぴんで女の子は全然かわる。
化粧するとたしかに美人顔になる。
だが、素顔の方が「ホントにかわいい」とオレは思った。

ビートルズの歌は知ってはいるが、ビートルズはそう好きではない(嫌いでもないが)ので、歌や構成覚えておらず、サビばっかし歌っていたオレに、麗華は「そこちがーう」「またちがーう」・・・と、ふくれっつらを近づけて抗議したり、教えてくれたり。でも、よっぱあなオレはかまわずサビばっかし歌いぱなし。

またまた、めちゃくちゃ楽しい時間はあっという間にすぎさって、いつしか酔いつぶれて床に寝てしまっていた。

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黄色いtowel(手拭い)その参

夜中の3時頃に床の上で眼を覚ました。。
つぶれなければそこにオレが寝ているはずだったオレのベッドの隣のベッドではさっさんが寝ている。

ちなみに、部屋はツインを二つ予約していて、パーティをしたのはオレ達の部屋。
ビートルズコピーバンドのリーダと麗華は部屋に戻ったらしい。
リーダはオレより一歳ほど年上でシタゴコロゼロ・・・とは言い難いけど、そういうことに関しては結構理性的で、なにか起こすようなヤツではない。
むしろ、麗華とナニカ起こったら不思議www・・・ともいえる関係だったのだ。

オレは、シャワーか、ひとっぷろ浴びてからベッドに入ろうと、バスルームに入った。
風呂に浸かりながら・・・・まだ酔いが残っていたのだろうか・・・・チョイとさっさんにイタズラしてやろーと思いついた。
いきなし、布団の上から「フライングボディアタァァク」かまして、起こしてやれ!

うひひひ、どうゆう反応するかなあ。

わくわくしながら、オレはホテル備え付けの黄色いタオルを腰に巻いて、バスルームから出た。

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黄色いtowel(手拭い)その四

寝ているさっさんにいきなし、布団の上から「フライングボディアタァァク」かまして、起こしてやれ!
深夜の風呂の中で悪魔のイタズラ心を抱いたオレは、わくわくしながら、ちっこい黄色いタオルを腰に巻いて、バスルームから出た。

タオルがほどけないように二つの端を腰の横でしっかり押さえながら、さっさんが眼をさまさないようにベッドの足元から、そっと近づく。

いざ・・・・「フライングボディアタァァク」・・・・・

の寸前に、天使が舞い降りてきて微笑みながら言った。

「寝ている時にいきなしぢゃかわいそでしょ、それに、万が一、けがしちゃったり、心臓麻痺とかになったら大変でしょ」

「それもそうだな」、

オレは、天使の声を素直に聞き入れて、方針を変更した。

「いったん起こして・・・それからフライングボディアタックをかまそう!!!」

起こさないように慎重に・・・慎重に、オレは枕元まで忍び寄った。

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黄色いtowel(手拭い)その五
片手で腰の横、タオルの両端を押さえたまま、もう一方の手で、
少しだけ布団の端から頭を出して寝ているさっさんの布団を
そっとめくった。

そして、さっさんを揺すって起こそうと手を出しかけて、
一瞬、オレは動けなくなった。
向こうを向いて寝ていたのですぐには気がつかなかったが・・・
寝ていたのはさっさんではなかった!
ベッドの上にたなびく長い髪・・・・。

頭の中=大混乱しながらも、そっと布団を元に戻し、
後ずさりして、バスルームへ。
再び湯に浸かりながら考えた。

「アレダレ??」
「オレまだ酔ってる??」

なんか思い込んで見間違えたのかもしれない。
黄色いタオルはとっぱずし、バスタオルで重装備して、
再度、ベットの枕元へ・・・・・。

また、そっと布団をめくった。
オレがバスルームに再入室した間に寝返りをうったらしく、
今度は顔がしっかり見えた。

「ぎゃ、麗華」

あわてて、ズボン・シャツその他を引っつかんで、
再び、バスルームへ後戻り。
「やっぱり=まだ酔ってた!」
さっさんでなけりゃ、しかも長い黒髪なら麗華以外いるわけないぢゃん。
この段階でやっとオレは完全に酔いが醒めたらしかった。
バスルームの中でぬらさないように注意深く服を着て、
自分のベットに戻りオレは寝転んだ。

麗華は目を覚ましたらしく

「まだ、寝てていい??」
と無邪気に聞く。

「まだまだ夜中だよ」と言い返すまもなく
また、寝入ったようだった。

オレは、、寒いベランダに出て夜の星空を眺めたり、
拳法の型や突き・蹴りの練習したり、
それでも我慢できなくなったら、自分のベッドにもぐりこんで・・・
朝までまんじりともせずすごしました。

そして・・・この日からオレはさっさんを信用しなくなりました。

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